さて、前回の続きですが「かしこい子が育つ家」を具体的なイメージにしてみたいと思います。
ただ、「かしこい子」と言っても、今や学力だけをとりあげる時代ではなくなってきていることは確かです。大学でもAO入試のように、これまでの一般的な学力試験ではなく、個性や適性を多面的に評価する方法で人材を集めようとするところが増えてきたり、就職においても、企業が一番重視しているのはコミュニケーション能力だと言われています。
結局、学力ももちろん大事ですが、子供たちが日々の生活の中で興味や関心をもったことを追求したり、周りの人とコミュニケーションをたっぷり取りながら成長していくことが、結果的にかしこい子を育てることにつながるような気がします。そして、このことって子供だけでなく、家族みんなが楽しく暮らせるっていうことですね。
そこで、少し整理して
①家族のコミュニケーションがたっぷりとれる
②子供の成長に応じた住環境がととのえられる
③家事が効率的に行えたり、収納が十分あって生活がしやすい
この3点の実現をとおして、高砂建築風「かしこい子が育つ家」をつくることにしました。
その結果出来上がったのが下の図面です。
(ちなみに「若いご夫婦+小学校入学前のお子さんが1~2人」という家族構成を元にしています。)
まずは1階ですが、
・玄関を入ると右手には「土間収納」が設けられています。
ベビーカーや子供の遊び道具、ゴルフバッグ等趣味の道具など気兼ねなく置いておくことが
できます。
・ホールの扉を開けると20帖の「LDK」が広がります。
ここは吹き抜けになっていて、プライバシーを大事にしたい寝室以外、各部屋とコミュニケ
ーションがとれるようになっています。また、リビングの延長として楽しめる広々ウッドデ
ッキが窓の外にひろがっています。
・「キッチン」は食育の場として家族みんなが自由にお料理に参加できるよう、アイランド型
にレイアウトしました。
また、家事をする親とコミュニケーションをとりながら子供たちも楽しく勉強できるよう、
ダイニングの一角を工夫してあります。
・「洗面所・浴室」は家事動線の効率がいいように、キッチンの真横に配置しました。
・「和室」もお子さんが小さいうちは家族みんなで寝られるよう6帖の広さをとりました。
つづいて、オープンな階段をのぼって2階へ上がると、
・そこは「多目的スペース」、子供たちの遊び場としてもいいし、本棚をおいて読書コーナー
にしてもいいし、趣味の宝物を展示するスペースにも…、使い方は無限大です。
・「子供部屋」としても使える洋室をとりあえず1室もうけました。
ただ、部屋の中にいても家族と楽しくコミュニケーションがとれるよう、室内窓をつけてみ
ました。
・先ほどとりあえず1室としたのは、「吹き抜け」に床を張れば、いつでも部屋を増やせるよ
うにしてあるからです。
受験勉強などで、どうしても独立した部屋が欲しいとなったら、それに応じた間取りを簡単
につくれるよう構造的にも工夫されています。
・「寝室」にはウォークインクローゼットや布団もしまえる収納が、また別室として「納戸」
を設置するなど、収納の充実が図られています。
こまかい工夫も含めて、この家で計画していることをテーマごとに順次紹介していきたいと思いますが、一番のこだわりは、家族のコミュニケーションがたっぷりとれることです。まだ見ぬご家族が、この家でくりひろげるであろう楽しい場面が次から次へと頭に浮かんできます。そんな幸せな気分のなか、いよいよこのプロジェクトはスタートをきりました。
(続く…)