新しくしないための工事(耐震補強工事編)

げん木

2021年04月16日 15:41

高砂建設では、毎年何軒かのお宅の耐震補強工事に携わっています。

耐震補強工事では、おもに
・壁を強くする
・基礎を強くする
・屋根を軽くする
という工事を行います。
工事をすると、手を付けた場所が見た目にも新しく、きれいになるので
たいがい喜ばれます。

しかし今回は、「見た目を変えない!」こと
を求められた耐震補強工事のご紹介です。

沼津市内の由緒ある庭園内の建物2棟がその対象で、公共工事です。

1棟は20坪強の平屋、教科書通り壁・基礎・屋根の補強を行いました。

まずは解体工事、壁は昔ながらの塗り壁でした。
耐震補強工事では、まわりを壊さないよう丁寧な解体が求められます。


通常なら壁の中に筋交を取り付け、表面に合板を貼っていくのですが、
そうすると壁の仕上げは基本的にクロスや塗装になります。
しかし、今回は復旧後も以前と同じ「塗り壁」が前提条件です。
そこで用いられたのが、土壁の中に補強用の芯材が埋め込まれた
「荒壁パネル」という耐震補強材料です。
(京都で作られています。なんとなくうなづけます。)
このパネルを柱と柱の間に組み込んでいきます。


そして、表を塗り壁で仕上げて完成です。


以前の雰囲気を損なわず、しかもしっかり補強されました。


ちなみに屋根も以前の瓦を下ろし、下地板だけにした状態から・・・


金属屋根を葺きました。
これだけで、建物にかかる重量は1/10くらいに軽減されるそうです。
(遠目には、言われないと金属と気づきません。)


もう1棟は蔵で、主にギャラリーとして活用されるそうです。

やはり最初は骨ばかりになりました。


こちらも耐震補強として荒壁パネルを施したうえ、漆喰で仕上げられました。


年月を経た建物が持つ味わいや趣を残すことに腐心した工事、
大変の連続でしたが、我々にもいい経験になりました。

現在、静岡県の多くの自治体では、従前の耐震補強工事に対する補助金
(※昭和56年以前に建てられた木造住宅が対象です。)
を上増しして工事実施の啓発に努めています。
沼津市では、今年度一般100万円、高齢者世帯120万円とのことです。
詳細は、お住まいの市役所・町役場にお問い合わせください。

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